【コントラバスヒーローの休日#04】 三浦マラソンを終えて

足が痛い、最初は股関節、その次の日は膝、その次の日は足首。
だんだん下に来ている。
今日は幾分ましだ。

3/2に三浦国際市民マラソンが開催され、コントラバスヒーローはライバルのソリスト伯爵と共にハーフマラソンに出走。
初の挑戦、ヒーロー姿でのラン、予想外に上がった気温と立ちはだかる壁は多かったが無事に2時間35分で完走した。

なのである。
なのであるので全身ぼろぼろだ。10km以上走ったことなかったので今回のチャレンジが決まった時は準備をきちんとしなければと気を引き締めた。

まずやったこと。
ランニング用の服を買う。靴を買う。形から入って気分を高めよう。
赤いやつ。

その次にやったこと、下調べ。
長距離走ったことのない素人がハーフマラソンを走れるようになるのにどのくらいかかるのか。
ググってみたところ、
余裕をもって半年、短くても3か月くらいあると安心と出てきた。
マラソンチャレンジ確定したのは11月。よかった、なんとかなりそうだ。
そして準備期間が始まった。

練習。さて何をしよう。走るのは久しぶりだ。以前アップルウォッチを買った直後は週に3回くらい4キロほど走るという習慣を保っていた時期もあった。
長期のミュージカルのツアーに参加していたときも地方で走るようにしていた。
コロナ禍以降はまったく走っていないけどまあ何とかなるだろう。ヒーローショーでは殺陣もやっているし体は動く方だ。
そう高を括っていた。

気づいたら3か月あったはずの準備期間もいつの間にか1か月半くらいになっていた。
私の得意技だ。時空を歪めることが出来る。

深呼吸。

とりあえず走ることを日常にするために、息子(当時0才)を車で15分くらいの大きめの運動公園に連れていく習慣を作り、妻が見ている間に自分は運動公園を周回することにした。
息子は歩行練習、私はもはやリハビリのジョギング。

初日、1周で息が切れる。まずいぞ。
しかも寒い。つらいという感情しか出てこない。困った。
この挑戦を終えたら自分にどんなご褒美をあげようかと、飴を与えないと続かなさそうだ。

また次のタイミングでも1周で息があがる。何なら少しぜえぜえと喘息一歩手前みたいな状態だ。まずい。

焦っても仕方ないのでなるべく通って適度に負荷をかけつつ、外で身体を動かすことへの抵抗をなくそうと思った。
ランニングとは別に息子を背負って城ヶ島をウォーキングしたりもした。

ちょっと歩くだけでハッとする景色を見せてくれる城ヶ島。

よしここで実際のコースを見てみよう。
本番1か月前くらいにソリスト伯爵役の松岡と試走した際の記憶を呼び起こしながら書き記す。

スタート地点は地代所プロダクションの事務所からほど近い三浦海岸。マクドナルドのある交差点からは菊名海岸寄りに少し進んだところだ。
そこから三浦霊園までは地形に沿って海沿いを進んだあと、三浦霊園を抜けるようにして一気に登る…。ここがまずすごい。道は舗装されているものの山登りと変わらない。
始まって3kmほどでいきなり山登りをする。しかも霊園を抜けた後に一瞬下りはあるものの岩堂山までは登り続けるルート。
岩堂山は三浦市の中では一番標高が高い山なので、つまりマラソンコースの中でも一番標高が高い区間だ。
始まって5kmほどでいきなり一番高いところまで登らされる三浦マラソン。恐るべし。
実は後半にもう一か所急こう配のラスボスが待ち構えているのではあるが。

岩堂山を抜けると宮川公園を見下ろすように長めの緩やかな下り坂だ。
ここは非常に気持ちが良い。

そのあとは城ヶ島まで向かうのだがここからが意外と長い。
三浦の雄大な景色からくる独特の感覚なのか、距離感が少しバグる気がする。
三浦海岸、三浦霊園、岩堂山、城ヶ島と思っていると気持ちしんどいので、岩堂山と城ヶ島の間に、坂道、宮川公園の手前の交差点、城ヶ島見下ろす畑、城ヶ島大橋くらいにカウントしておかないといけないなと振り返ってみて思う。

長距離は気持ちも大事だ。折れない心。

城ヶ島大橋も意外と長い。また海面からの高さもあるので風も強い。その代わり見晴らしは最高だ。
大橋を渡り切り城ヶ島へ上陸すると割とすぐに折り返し地点になる。
折り返したら風力発電のプロペラが目印の宮川公園方面へ向かう。ここまで2キロほどあるのだが緩やかな上り坂なので地味に体力が削られるので要注意。
公園を過ぎると毘沙門までは緩やかな下り坂。

毘沙門のトンネルまではまた上り坂。
トンネルは涼しくてなんだか気持ちいい。抜けた先に下りがあって先が見えないのでこれで終わりかと思うと裏切られる。
この後に最後の地盤高50mほどの坂道が待ってる。これがラスボス。
試走の際はここで力尽きて残りは歩いたのである。
ここまでで大体2時間ほど。制限は3時間なので松岡と二人でたぶんぎりぎり完走できるだろうとなった。
レベルは低いが、何せ初なのだ。まずは目指せ完走!

試走でほんの少し自信がついたので、このあとの期間は焦らず過ごすことが出来た。
三浦海岸から三浦霊園までの往復で5kmほどを子供が起きる前の早朝、もしくは寝たあとの夜に出来るだけ走り、走るペースとフォームを意識して楽に走れるように。
あとはめちゃくちゃ食べた。

こうして迎えた当日は、ヒーローショーをステージで披露してからの出走。
コスチュームも着たままだ。快晴で気温も20度近くまで上がる予報。
熱中症に気を付けないと。モニター用のスマートウォッチは出走直後、心拍数165を示していたのでかなりまずいと思い、序盤は120くらいに落ちるまでゆっくりペースで走った。
その後も途中途中で密着の撮影クルーに衣装の一部を脱いで渡すなどして体調優先でなんとか完走!
レース中の様子は後日映像が出ると思うのでそちらを見ていただくと様子がわかると思う。

印象に残ってるのはレース中に近くを走るランナーと会話したこと、沿道で声援を送ってくれた地元の方たち、ボランティアのスタッフも笑顔で対応してくれたこと、そして道路を埋めつくす一緒に走るランナーたち。まるでみんなで走っていどうする巨大なクラブだなと思った。
完走したときの達成感よりむしろこうしたことの方がよく覚えている。

レース後もステージでは抽選会があり、ブースなどもあるので砂浜で参加者たちがのんびりしている様子も三浦マラソンらしい。いい空気感。

生まれて初めて走った20kmは確かな自信と与えてくれたのと同時に、三浦半島の自然に比べたらちっぽけな自分も感じることが出来て、とても謙虚な気持ちになることが出来た。
何より走った後に飲むコーラが美味いということ。
ご褒美はこれだけで十分だ。

望むもの全てがそこにある、三浦半島!
また会いましょう!

2025.3月某日
地代所

この記事を書いた人

コントラバスヒーロー(地代所悠)

地代所悠(じだいしょ・ゆう)
葉山育ち、現、三浦市に同じくクリエーターの妻と0歳の子供と住んでいる。コントラバスヒーロー主演&プロデューサー。
合同会社地代所プロダクション代表。

【ここまでのあゆみ】
神奈川県立七里ガ浜高校卒業、東京藝大をコントラバス専攻で卒業後、同大学院修士課程修了。
大学院での”ゴジラの鳴き声の生演奏再現”研究が注目されテレビ、ラジオなど様々なメディアに出演。コントラバス奏者として様々なオーケストラへ客演したのち、現在はアーティストのサポートやレコーディングへの参加をメインに活動している。楽曲提供やサウンドプロデューサーとしても活動。
映像作家として2020年3月には自身初の短編映画「何者でもない、」を発表し活動を開始。ミュージックビデオやWebCMなどクライアントワークも行っている。六本木アートナイト2022にて映像作品「Blurred Boundaries」が入選。Rolling Stone Japanプレゼンツ、\"PEAUGEOT RIFTER LONG × YU JIDAISHO\"ではCMへの出演と楽曲を書き下ろした。
2022年より、三浦半島のご当地ヒーロー「コントラバスヒーロー」を妻と共に立ち上げ。総監督&主演として地元三浦半島をより一層盛り上げ、魅力を発信するために精力的に活動中。

三浦