ビーサンを販売して70年!の葉山「げんべい商店」【〝まるげ〟ブランド】

葉山でビーチサンダルといえば「げんべい商店」。
三浦半島ではすっかりおなじみの〝まるげ〟ブランドですが、今年でなんと70年を迎えたとか!
その歴史とは? そして現在とは?


ビーチサンダルが生まれたのはあの港町!

葉山の話ですが・・・スタートは、兵庫県神戸市長田(ながた)区。
ここは「ビーチサンダル発祥の地」とされています。8月3日は「ビーチサンダルの日」としてさまざまなイベントを行い、PRしていました。

というのも、長田地区は「靴のまち」として発展。
戦後、タイヤなどを生産するゴム工場が草履をヒントに開発したのが始まりとされています。1995年の阪神大震災で壊滅的な被害を受け製造は中断されましたが、現在は復活しているそうです。

その神戸に世界初のビーチサンダル「ビーチウォーク」を生んだ「内外ゴム株式会社」があり、会社のHPによると

「アメリカの工業デザイナー、レイ・パスティン氏が考案し、当社の独立気泡スポンジの技術によって、1952(昭和27)年、 世界初のビーチサンダル『ビーチウォーク』が誕生」
「当時、日本の鼻緒付き履物(下駄、草履)は左右同じ形をしているのが一般的。これに対しビーチサンダルは、左右の足形に沿った形状としました」
「1953(昭和28)年、アメリカへの輸出を開始。ハワイで1カ月に10万足が売れるなど、一大ブームを築きます。そして、 1955(昭和30)年には国内販売用として日本人向けに改良した『ブルーダイヤ』を発表」
とあります。

そして、
「葉山の【げんべい商店】は国内でもごく初期から販売していた店舗」
と紹介されています。
つまり、葉山でビーチサンダルを販売して今年で70年!ということです。

年間3~4万足販売する国内でも珍しいビーチサンダル専門店「げんべい商店」は『老舗』なんです。


創業はなんと幕末!

創業は、逗子から森戸神社に向かう堀内海岸通り商店街でした。
1923(大正12)年8月、葉山村青年団堀内支会が葉山村堀内海水浴場事務所の建設記念に刊行した地図には「相州屋足袋店」として載っています。
100軒を超える商店や別荘、貸家貸間などが並んでいます。

現店舗(海岸通り店)の向い側、現在、自転車店が地図の場所と思えます。店のHPにはたった1枚、看板がカタカナで「ゲンベイ」だった白黒写真が載っています。
「ビーチサンダル 100円」とあります。

ちなみに2019年3月、初めてお値段が1,000円台になりましたが、それまでの40年間は900円台だったそうです。今は1,250円~。

「げんべい商店」は江戸時代・文久3年(1863年)頃に、足袋屋として誕生したんですね。
店の名前は「相刕屋源兵衛(そうしゅうやげんべい)」。
「相刕屋(そうしゅう)」は相模国という意味の地名、「源兵衛(げんべい)」は創業者の葉山源兵衛の名前。


有名人も愛する〝まるげ〟はカラー豊富!

今は5代目、葉山英三郎さん、邦子さんが継いでいます。名刺に「6代目(仮)」と載せてバリバリ頑張っているのがこちら、葉山恵太さん!頼もしい!

恵太さんによると、足袋屋から「ゲンベイ」になった創業年1955年だと分かったが、何月何日は分からないとか。当初のビーチサンダルの写真もないそうです・・・ちょっと残念。

ですが、葉山は石原慎太郎さん裕次郎さんをはじめ、多くの文化人芸能人が楽しんでいた町なので、そういう有名人にも「げんべい」のビーチサンダルは愛されていたようです。
「げんべい」のビーサンの特徴は、ソールと鼻緒の組み合わせの多さ。
ソール12色×鼻緒11色の組み合わせがあります。

ところで、ありそうでないカラーがあるんですよ。(答えはこのあと・・・)

で、新色アシッドブルーで作った新商品は、環境に配慮した「エコビーサン」!!

アシッドブルーはTシャツのカラーの中で人気色ということで採用に。

で、どこがエコかというと、素材(天然ゴム)に生分解性促進添加剤 eco-oneという物を混ぜて自然に還りやすくしたビーサンだそうです。
海岸で楽しむビーサンが海洋ゴミになってしまうことに心を痛めていたと聞きました。
現在、アメリカの第三者機関に生分解試験をお願いしていて、正式に結果が出れば全商品をエコ化していきたいそうです。

さて
ありそうでないソールと鼻緒のカラーですが・・・
ソールでないのが、鼻緒で1番人気ともいえる「ピンク」。
鼻緒でないのが、「グレー」「むらさき」だそうです。

「海岸通り店」で整然と並ぶビーサン

葉山のおみやげにも最適!

では最後に葉山にある3店舗のご紹介。
京急電鉄のお得企画乗車券「葉山女子旅きっぷ」(男性も利用可)で立ち寄る人が多い「海岸通り店」。逗子からのバス便が◎。海岸にも極近なのでビーサン買ってそのまま海へ~。

▼海岸通り店
京急バス「逗12 :葉山一色行き(海岸回り)」乗車、元町バス停下車/駐車場なし
葉山町堀内365/月・水曜定休

ビーチグッズが豊富!

日用品も多い「一色店」。隣は本店「文教堂書店」です。

▼一色店
葉山町一色1464/月曜定休 駐車場あり(4台)

車で行くなら「長柄店」。
外にある自動販売機も「まるげ」仕様! 横浜横須賀道路「逗子IC」から5分です。

▼長柄店
葉山町長柄855/火曜定休 駐車場あり(11台)

歴代のTシャツが並ぶ店内
1着ずつ丁寧に畳んで袋に入れるスタッフ

ビーチサンダルは例年、ゴールデンウイークから7月までが1番売れる時期だったそうですが、最近は暑さが長引き、10月まで良く売れているそうです。

今年からは自社プリントになり、好きなひらがなをプリントした自分だけの1足もオーダーできるようになりました。実際、ベビー誕生の時に、親子お揃いのビーサンプレゼントを喜んでもらったことがあります。

看板に「げんべい」の真髄が!

葉山が誇る〝ソウルビーサン〟とも言える「まるげ」ブランド。
夏のお出かけで、ぜひ立ち寄ってみませんか?

この記事を書いた人

Makoto

Writer Makoto
放送作家出身。現在は地域メディア編集長兼ライター。町も人も歴史を大切に、自分史活用推進協議会認定アドバイザーとして自分史作成も手がける。夢の1つはドラムを習うこと。

葉山