【コントラバスヒーローの休日#08】ライバルとの男旅・城ヶ島編


城ヶ島へーー

うらりでまぐろ尽くしを楽しんだ私たちの次なる目的地は、三浦半島の観光名所として名高い城ヶ島だった。
実は港から渡し船に乗って海を越える予定だったのだが、この日は風が強く、残念ながら運航中止。

計画が崩れた瞬間は少し落胆したものの、そこで「じゃあ歩いて行こう」というのが切り替えの早さに定評のある私たち。
うらりから城ヶ島までは徒歩でおよそ30分。散歩としてもちょうどいい距離だし、何より歩けば風景や匂い、人の表情といったものをじかに感じられる。

城ヶ島大橋でトンビがお出迎え。
松岡は思わず空を見上げ、指を差しながら「見てくださいよ!」と声をあげる。普段はコンサートホールで歌声を響かせている彼が、少年のような顔ではしゃいでいるのを見ると、こちらまで心が軽くなった。ヴィラン感は全くない
三浦半島では移動そのものが冒険になり、旅の記憶を豊かにしてくれる、はず。


FISHSTANDで豪快に

橋を渡り切ると、潮の香りがぐっと濃くなる。最初に向かったのは「FISHSTAND」。

漁港の一角にある白い外観のおしゃれなお店で、観光客はもちろん地元の人にも人気だ。
お目当ては名物のフィッシュ&チップス。しかもここでは、マグロ問屋ならではのまぐろを使っている。

熱々の衣をガブリと噛むと、外はカリッと香ばしく、中からふわっとジューシーな旨みが広がる。大ぶりに切られたまぐろの切り身は、食べ応え抜群だ。
松岡は目をつぶって一口目を味わい、次の瞬間には子どものような笑顔を見せた。「これは反則ですね」とひとこと。
グルメな彼にここまで言わせるのだから間違いない。


甘い世界、nana parfait

お腹を満たした後に向かったのは「nana parfait」。
一歩足を踏み入れると、そこは現実から切り離されたようなファンシーな空間だった。天井から吊るされたバルーン、可愛らしい装飾、店内に漂う甘い香り。まるでテーマパークに迷い込んだような感覚だ。

運ばれてきたのは、色鮮やかなフルーツがこれでもかと盛られた豪華パフェ。
苺、メロン、オレンジ、キウイ、さらに食用花まであしらわれていて、その華やかさに思わず歓声をあげてしまう。
ひと口食べると、みずみずしい果汁とアイスクリームの甘さが溶け合い、思わずため息がもれる。松岡は「これは芸術作品だ」とつぶやき、黙々とスプーンを運んでいた。舞台で歌う彼よりも真剣な表情である。


JOGA CAFEでひとやすみ

甘い余韻を抱えたまま、次はコーヒーを求めて「JOGA CAFE」へ。
トレーラーハウスを改装したカフェで、テラス席に腰かければ緑の向こうに広がる空が目の前に迫ってくる。紙コップを手に、ただ風を感じながらぼんやりと過ごす。特別なことは何もないのに、ここで過ごす時間は心を豊かにしてくれる。

私もこの表情。平和だ。普段の戦いの日々から解放される瞬間こそ、旅の醍醐味だろう。


城ヶ島を歩く楽しみ

カフェを出たあとは、城ヶ島をのんびり散策。
赤い橋を渡り、波の音を聞きながら海辺を歩く。

岩場には猫たちがのんびりと寝そべり、近づいても逃げる様子はなく、まるで島の主のように堂々としていた。

松岡が猫に手を伸ばして笑顔を見せる姿を見てほしい。

半日あれば城ヶ島の主要スポットをぐるりと回れるし、もっとじっくり歩けばまだ知らない表情に出会えるだろう。
今日はダイジェスト的なツアーだったが、いずれ改めて腰を据えて紹介したいと思う。


三崎口へ帰還

日も傾き始めた頃、バスに乗り込み三崎口駅へ。
並んで座り、今日の出来事を振り返る。お互いに「また来たいね〜」と言葉を交わすうちに、旅は幕を閉じた。

地元に住んでいても、仲間と一緒に歩けば新しい発見がある。ましてやヒーローとその“ライバル”が揃えば、旅そのものが物語になる。なったのか!?

今回のツアーが松岡にとっても、そして読んでくださる皆さんにとっても、三浦・城ヶ島を訪れるきっかけになれば嬉しい。
それではまた、次の休日にお会いしましょう

2025年8月某日
地代所


この記事を書いた人

コントラバスヒーロー(地代所悠)

地代所悠(じだいしょ・ゆう)
葉山育ち、現、三浦市に同じくクリエーターの妻と0歳の子供と住んでいる。コントラバスヒーロー主演&プロデューサー。
合同会社地代所プロダクション代表。

【ここまでのあゆみ】
神奈川県立七里ガ浜高校卒業、東京藝大をコントラバス専攻で卒業後、同大学院修士課程修了。
大学院での”ゴジラの鳴き声の生演奏再現”研究が注目されテレビ、ラジオなど様々なメディアに出演。コントラバス奏者として様々なオーケストラへ客演したのち、現在はアーティストのサポートやレコーディングへの参加をメインに活動している。楽曲提供やサウンドプロデューサーとしても活動。
映像作家として2020年3月には自身初の短編映画「何者でもない、」を発表し活動を開始。ミュージックビデオやWebCMなどクライアントワークも行っている。六本木アートナイト2022にて映像作品「Blurred Boundaries」が入選。Rolling Stone Japanプレゼンツ、\"PEAUGEOT RIFTER LONG × YU JIDAISHO\"ではCMへの出演と楽曲を書き下ろした。
2022年より、三浦半島のご当地ヒーロー「コントラバスヒーロー」を妻と共に立ち上げ。総監督&主演として地元三浦半島をより一層盛り上げ、魅力を発信するために精力的に活動中。

三浦