ハイサイ!「逗子沖縄まつり」は命(ぬち)どぅ宝(たから)で大きな輪 ~浦賀港から三浦半島にたどり着いた沖縄の歴史~

9月6日、7日に横須賀で16回目の沖縄イベント「いーちゃ・イチャフェスティバル」が行われました。
3万2000人を集めたそうです。
沖縄の方言で「いーちゃ」は「酔っ払い」、「いちゃ」は「出会い」を意味します。

といっても、酔いを楽しみ、出会いを求めるだけのイベントではありません。
横須賀と沖縄には戦中戦後からつながりがあったのです。



沖縄と横須賀の深いつながり

今年(2025年)初め、戦中から戦後にかけて横須賀市内で制作されたとみられる沖縄の伝統的な染色技法「琉球紅型」を用いた和紙が、市内の着物リフォーム業者が使っていた建物の解体中に発見されました。
沖縄から横須賀に避難してきた職人による作品ではないかということです。
戦時中、政府による沖縄から本土に疎開させる計画とは別に、海軍の拠点があった横須賀に避難してくる沖縄の人たちがいたそうです。

9月19日(金)20日(土)に逗子で行われる「逗子沖縄まつり」も、逗子に移り住んだ沖縄の人の思いが開催の一つの意味になっています。

初回の様子
昨年10回目の様子

食と音楽で平和を考える

スタートは2014年8月。
逗子市役所の隣、亀岡八幡宮境内にステージを作り、アーティストが出演し、沖縄料理などの飲食の出店もあります。写真は初回と昨年10回目の様子。

やっぱりこうなります、毎年カチャーシー(沖縄の踊り)でアーティストもお客さんも一緒になって楽しんでいます。
もともと沖縄好きの市民と沖縄・首里出身で逗子在住のアーティスト、東風平(こちひら)高根さんが立ち上げました。東風平さんは以前より「命どぅ宝」という歌を作詞作曲して大切に歌ってきました。

「忘れないよ 鉄の雨に 打たれ散ったひめゆりの花を
 私達のおじーおばーが 震えて見上げた夜空
 昔話なんかじゃない この島の全部を伝えよう」

「命どぅ宝 命こそ 一人一人が持つ宝物」と歌詞に盛り込み、平和の尊さを伝えています。
実行委員たちも「沖縄イベントで音楽を楽しめて、美味しいものを味わえるという平和の大切さを感じてほしい」と話します。

逗子沖縄まつりで歌う東風平さん

逗子でも根づいた沖縄文化

逗子にも通称「沖縄村」と呼ばれる地区がありました。
終戦直後、サイパンの米軍収容所などから、多くの日本人が横須賀市浦賀港に引き揚げてきました。
沖縄出身の人たちは焦土となった故郷に戻れず、隣の逗子市にあった旧海軍工場の工員宿舎に身を寄せて、生活の基盤を築いたそうです。今も2世3世が暮らしています。

その一人が父母とともに移住した真喜志康正さん。
祭りがスタートした翌年、休眠中だった「逗子葉山沖縄県人会」を東風平さんたちと再発足させ、2年目から共催するようになりました。
県人会ブースには毎回沖縄出身者をはじめ、沖縄と関りのある人たちが集い、交流しています。

このイベントがほかの沖縄イベントとよりスゴイ!のが、泡盛マイスターによる泡盛ブースです。
その種類と安さ、そして知識のあるマイスターが味わいを分かりやすく説明してくれることが人気です。
当初12酒造会社1泡盛問屋の泡盛でしたが、今年は32酒造1泡盛問屋と倍以上に増えています。
貴重な古酒も飲み比べできるとか。

昨年の泡盛ブースの一部

3種飲み比べで1,200円チケットは300枚限定ですが、泡盛がゲットできる抽選券付きです。


人気のエイサーも登場!

そして、市民手作りのイベントにも関わらず、沖縄からアーティストに来てらえることもスゴイです。今年もちむぐくるさん新里学さんが。過去には桑江知子さんも!
さらに実行委員が自慢するのは、1回目から毎回出演する鎌倉女子大学沖縄舞踊愛好会のファンが年々増えていること、卒業したOGが創作エイサー団体「天晴(あっぱれ)」を作り、全国各地のイベントに参加してがんばっていることだそうです。もちろん今年も出演します。

鎌倉女子大学沖縄舞踊愛好会の1回目の参加の様子
昨年の創作エイサー「天晴」のステージの様子

ステージ進行はこれまで芸人・しゃもじさん、宮川たま子さん、NHK朝ドラにも出演していた藤木勇人さんなども担当していますが、今年は沖縄芸人・ナインボールさんです。
今年のチラシとステージプログラムはこちらです。

前夜祭(19日)
本祭(20日)

沖縄の歴史にも触れながら、音楽、飲食、文化を通して、カチャーシーで大きな輪を作って楽しみましょう♪


この記事を書いた人

Makoto

Writer Makoto
放送作家出身。現在は地域メディア編集長兼ライター。町も人も歴史を大切に、自分史活用推進協議会認定アドバイザーとして自分史作成も手がける。夢の1つはドラムを習うこと。

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